これって虐待じゃない?
虐待を見かけたらどうしたらいいの?
本日は私が療育の現場で働く中で見聞きしたこと、同僚の悩んでいたことなどをコラム形式でお話していきたいと思います。
1 虐待
私は児発管として相談を受けたり、スタッフの指導をしていることもあり多くの話を聞く機会がありました。しかし残念なことに、スタッフや保護者様の中には「支援をしている」と思いながら、気付かないうちに「虐待」になっているケースもよくあります。
この記事では「虐待とは」「虐待をみつけたらどうすればいいの?」「実際の現場や葛藤」ということで「虐待」について掘り下げていきましょう。
1-1 虐待とは
児童虐待は以下のように4種類に分類されます。
出典:厚生労働省HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/dv/about.html
「虐待とは」などで検索するとすぐに出てくるのが、上記のような表でしょう。
ただ、ここで難しくなるのが「心から子どものことを考えているのに、結果虐待になってしまっていた」という現実や「昔はみんなこうしてた」「口で言っても分からないから」などという「行き過ぎた躾(しつけ)」ではないでしょうか。
現代社会では上記のような理由があったとしても、それが許されるわけではありません。
しかし「虐待」と一括りにしてしまうと、想いが更にねじれて負の連鎖が止まらないようにも感じます。「虐待」を分かりやすく言い換えると「子どもに対しての不適切な関わり」だと思います。
1-2 虐待を見つけたらどうすればいいの?
これは明確にお伝えしておきますが、発見した人には誰にでも「福祉事務所」もしくは「児童相談所」などを介して通告する義務があります。更に注意して頂きたいのは「児童虐待を受けた児童」ではなく「児童虐待を受けたと思われる児童」が対象ということです。
ここでハッキリさせておきますが「虐待だという確証・証拠はいらない」ということ。それれは発見者がすることではなく、児相などが介入しやっていくことなのです。
そうはいっても「どこに問い合わせるか調べるもの大変だし」「通告先が正しいかわからない」という方は、下記より電話で相談することをお勧めします。当然ですが、通告者の個人情報は守られますので「誰が通告した」かは、分からないようになっています。
児童相談所全国共通ダイヤルの『189(いちはやく)』
特に仕事として子どもに関わっている方は、必ず心に留めておいてください。仕事として関わっている方には「早期発見に努める義務がある」ということも覚えておいてください。
あなたの通告で救われる心や身体が実際にあるんです。
1-3 実際の現場や葛藤
私もずっと現場にいると、やはり少なからず「虐待疑い」を見聞きします。ある事業所ではこんなお子さんがいました。
利用児童は「毎日同じ服を着ている」「髪がべた付いている(洗っていない)」「大人の大きな動作(手を上に上げる)などにビクっとする」など。まずはネグレクトを疑い、もしかしたら身体的な虐待も…というところまで考えました。
今回のケースではご両親やご兄弟は問題なく生活されており、事業所との対応にも協力的であることから、児発管として面談の中で遠回しにお話をしていきました。
直接「虐待じゃないですか?」なんてことを言うと信頼関係を損ねるだけなので「服にこだわりが出てきましたか?」「お風呂苦手なようですね?」など、その保護者様にあった声かけをしていきます。「他人がそこに注目しているんだ」という自覚を持つことで、ご両親が意識をして改善していった一例です。他にもまだ事例はありますが、また次の機会に譲りたいと思います。
2 まとめ
通告の当事者となってまず思うことが「これが虐待じゃなかったら、多方面に迷惑をかけるだけなのでは?」「会社をクビにならないかな?」といった矢印が自分に向いたものばかりです。
その時の通告の当事者は「子どもを守る」という気持ちは2番手になってしまっているんです。療育で「子どもの出来ることを増やす」前に「大人が出来ることをする」ことの方が優先度は高いはずです。
いかがでしたか?
正直、私自身が「虐待を見聞きした」立場にたった時もかなりの葛藤がありましたし、同じように悩んでいる同僚の話も耳にします。
子どもの療育を一生懸命やっていたって、虐待を受けている状態の子どもでは十分に伸びないでしょう。子どもの将来のために、今の環境を整えてあげることが先決ではないでしょうか。