この仕事をしていると「保護者様の要望が正しい」「要望には全て応えなくてはいけない」と錯覚してしまう瞬間があります。
今回は「保護者様の要望」と「本来の役割」について考えていきましょう。
1 保護者様の要望
誤解して欲しくないので最初に書いておきますが、私は保護者様には要望を言って欲しいと思っています。
矛盾しているように感じるかもしれませんが本当にそう思っていますし、保護者様にも「何かあれば、どんな些細な事でも言って下さい」と伝えています。しかし「できる限りの事はさせてもらいますので!」とも伝えています。
この部分は、ただ「上手いこといなしている」のではなく、実際にそうだからです。それでは、詳しく見ていきましょう。
1-1 要望は心の声
私は、このアセスメント以外から出てきた要望に保護者様の心の声を感じています。生活が見えてきたり、困り事や悩みなどがダイレクトに伝わってきます。
どうしても出来ることと出来ない事はありますが、面倒臭がらずに「保護者様の心の声」と向き合っていきましょう。
1-2 要望は信頼の証
過剰な要望ばかりする保護者様は別として「田中さん、言いにくいんですけど…何とかなりませんか?」と言われたら、私は「やった!」と心の中で思ってしまいます。
「私を信頼して、言いにくいことを言ってくれてありがとうございます!」と言う気持ちです。
実際には「私じゃなくても良かった」とか「信頼関係は出来てないけど言わざるを得なかった」のかも知れませんが、それでいいと思ってます。
私自身がそう思う事で「人間関係はプラスに働いている」とポジティブに考えています。
1-3 出来ないこと
私どもの仕事は1日に何名もの子どもが通い、その分保護者様もいらっしゃいますので特別扱いは出来ません。
可能な範囲内であればできるだけ融通をきかせますが「その要望を受け入れたから他の子に迷惑がかかりました」では本末転倒ですよね。
なので「周りに迷惑がかかること」や「1人だけ特別扱い」になってしまうことはお断りするようにしています。
基準は事業所によって違ってくるでしょうが事業所内、特に管理者や児発管は方針を固めておくべきでしょう。
2 本来の役割
私たちの主な役割は「療育」であり、その考え方の中で「レスパイト」や「連携」などが含まれて来ると考えています。
なので前章でも書いたように「他の子の療育を削ってまで、保護者様のレスパイトを優先することは出来ません」となります。
しかし、付き合いも長くなりお互いの心の内が分かるようになってくると、つい「いいよ、大丈夫」「上手くやるから」と、なぁなぁな関係になりがちです。
スタッフと仲良くなるのが得意な人だけが、贔屓され優遇されるような理不尽な事業所にはして欲しくありません。それもまた平等だと思います。
3 まとめ
ここまで「保護者様の要望」と「本来の役割」ということで考えてきましたが、いかがだったでしょうか?
保護者様それぞれにそれぞれの思いがあり、事業所はガイドラインに沿った事業所の方針に乗っ取って可能な限り支援をおこないます。
我々の仕事はボランティアではありませんが、福祉であり多くの税金を使って成り立っている事業です。
その事の意味や立場を今一度考えて、日々の支援をおこなっていきましょう。
最後に、誤解して欲しくないのは「我々が保護者様より優位で、支援してやってる」という、逆に振り切ってしまわないようにも心がけましょう。
人間は油断するとすぐに、楽な方にいきがちです。状況をよく見て判断し、バランスのとれた適切な支援が出来るといいですね。