事業所での活動が締まらない。
うちの子どもは切り替えが上手くできない。
保護者様との面談や新しく入ったスタッフから、高い確率で出てくる悩みですね。
本日はこのお悩みを「始まりの挨拶」「お片付け」という所から解決の糸口を探していきたいと思います。
1 始まりの挨拶
この章では「始まりの挨拶」について書いていきたいと思います。
ここで言う「始まりの挨拶」とは、支援者が子どもに対して活動の説明をし、互いに「お願いします」と挨拶をして始めることを指しています。
1-1 効果
今まで省略してしまっていた方も、何となくやっていた方も「始まりの挨拶」をするとどんな効果があるのかを知った上でおこなうと、より説得力が増すと思います。
①合図になる
切り替えが難しい子の中には「自分では気づけないけ、ど言われれば出来る子」や「周りがやっていたら自分も出来る子」が多くいます。
そういう子達にとっては、1つの気付きを与えることが出来ます。
「人の振り見て我が振り直せ」という言葉があるように、初めは人を見て真似をして気付いていくことは大切なことです。
②気持ちを落ち着かせる時間を作れる
活動の前の時間で楽しく遊んでいた場合、そのテンションを持ってきてしまうことで切り替えが難しくなります。
「始まりの挨拶」をする事によって「今は自分が話す時じゃないんだ」という場面を作ることが出来ます。
ワンクッション置くことで、活動開始の時にはかなり落ち着いて始められますし、活動を初めてから説明するより、工程を理解しやすいですね。
1-2 ポイント
ここでは「始まりの挨拶」をする上でのポイントを書いていきます。ポイントさえ抑えていれば、言い回しや伝え方はアレンジ可能です。
①子どもの間まで話す
子どもは支援者が発した言葉を自分の中で処理して考えます。その際に思ったことを口に出したり、口には出さなくてもまだ考えていたりしますよね。
そのタイミングを見ずに支援者のタイミングで話し続けると、子どもはキャパオーバーし「分かんない」となってしまいます。
支援者は「この言葉を言わなければいけない」というノルマをかせられている訳ではありません。
子どもに伝えることが大切なので、本質を見失わないようにしましょう。
②話すことを整理しておく
「始まりの挨拶」で話したいこと、説明のポイントなどを事前に整理しておきましょう。準備なく話してしまうと支離滅裂になり、子どもは余計に理解が難しくなってしまいます。
私も人前で話すのは苦手な方なので、あえてA1サイズのホワイトボードに「子どもに見せる用」の「工程表+活動のスケジュール」を書いたりしていました。
子どもが理解しやすい工程表は、説明する支援者のカンペになります。
③ルールを決める
療育ラボをご愛読下さっている方には、何度も言い過ぎてて聞き飽きてるかと思いますが「ルール(お約束)を決める」ことは大切です。
ルールを守ることはSSTにも繋がり、子どもにとってこれから先の大きな武器になります。
子どもは「知らないこと」「聞いてないこと」は出来ないという前提でいましょう。「子どもには無理」だと言うのではなく「ルールを初めに伝えることは、それくらい当たり前のこと」だと認識しておきたいと言うことです。
2 お片付け
1章で「前の活動から次の活動に移る際の切り替えのヒント」を見ていきましたが、この章では「お片付け」をきっかけに「今の活動を終わらせる歳の切り替え」について書いていきたいと思います。
2-1 効果
「何となく流れ解散で終わらせていた」「片付けは全部スタッフがやる」なんてことになっていませんか?切り替えのきっかけになるだけでなく、他にもメリットは沢山あるので具体的に見ていきましょう。
①身辺自立に繋がる
片付けを習慣化する事で身辺自立のトレーニング効果が期待できます。
私のいた事業所ではこれをキチンとおこなうようになってから、宿題をやった後や自由遊びの後なども片付けをしてくれる子が増えました。
中には「俺もやる」とお友達が使ったブロックなどを一緒に片付けてくれるようになった子もいます。
②合図になる
「始まりの挨拶」でも説明していますが「片付け」がきっかけになり、これは終わったから、次のことをやると自然と出来るようになってきます。
きっかけがあれば出来る子は沢山います。「人の振り見て我が振り直せ」と真似をしてやっていた事が身について自然と出来るようになり、それをまた別の子が真似をする相乗効果が生まれます。
2-2 ポイント
これも上記の「始まりの挨拶」でも伝えていますが、ルールを決めましょう。
「片付けが終わったら活動終わり」というベースに加えて、「鉛筆とかのりは前の机」「ハサミはスタッフに」「ゴミはゴミ箱」とルールを決めて、初めに説明してあげましょう。
まだ活動を続ける子がいる場合は「机で出来ることをして過ごす」や「まだ運動はしない」などのルールを決めておくといいでしょう。
また、子どもの状況や活動内容によっては、「始まりの挨拶」同様に「終わりの挨拶」を全員でやることを「活動終わりのきっかけ」にするのも1つの方法です。
3 まとめ
今回は「切り替え」について、2つのアプローチ方法を書いていきました。どちらにも共通していることは「1度、間を作る」ということです。
子どもはその間を使って「次にやること」を整理します。子ども自体が「その間の必要性」に気付いていません。
支援者がそれに気付き、必要な支援を提供してあげる事が大切です。
私が児発管として指導員を指導する時は「空気を切る」「空気を作る」と表現しています。言葉を発さなくても「前に立つだけで子どもが注目する」指導員は空気が違います。
その空気感を作り出せると子どもの前で話すのは楽になって来ると思います。ただ、威圧にならないようには注意しましょう。